ちょゆき(仮)’s blog

ショッピングセンターとデジマについて

前の前の会社の人材育成

僕は現在の会社で3社目となりますが、在籍した3社のうち、新卒で入社したブルーグラスという会社がいちばん組織的に人材育成をしていたと感じています。

 

入社半年で店長になる会社と聞くと、「習うより慣れろ」的な体育会系なイメージを持たれそうですが、それ相応の研修はかなり体系的に実施されていたと思います。

 

今後、WEB戦略を推進していくと、中長期的には人材育成についても考えいかなければならないので、これを機にまとめてみました。

 

※以下、うる覚えなので記憶違いなこともあるかもしれません。

 

 

■昇級試験

ブルーグラスでは年に1度昇級試験が実施されました。

これは新卒1年目社員から部長職などまで同様の制度です。

昇級試験の流れは以下の通りです。

 

①課題提出

昇級試験を受講するためには、STEPSという課題を提出しなければなりませんが、下の職級は実務の習得度を図る課題で、管理職クラスになると課題図書に対しての論文などが課題となります。

3年目クラスの課題になると実務の習得度チェックと月毎に自分で課題設定したテーマについての検証(4ヵ月間)などを組み合わせたものになります。

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②筆記試験

課題提出者は筆記試験に望むことになりますが、内容は事業計画やアパレルの基本知識などが中心となります。上の層の方については分かりませんが、前述の課題から推測するに事業に対しての小論文などではないかと思います。ちなみに筆記試験はどんなに優秀な店長でも合格点を取らないと筆記試験は通過できず、いつまで経っても昇級できません。

 

③面接試験

面接試験を通過すると役員1名を含んだ面談に望むこととなります。面談では現在の業務で意識していることや将来のビジョンなどについて問われます。

 

昇級しないと付けない役職もあるので(半年で店長になっても1年目の昇級試験に合格するまでは店長ではなく店長代行という肩書きになります)、みんな常に仕事8割、試験2割ぐらいのウエイトで業務を行っていたと思います。

昇級試験については賛否両論あると思いますし、当時、僕も試験は大嫌いでしたが、半年で店長を任せる上での必要なスキルの習得、バラバラの職場で働く従業員の意識統一、会社が求める能力への理解、早ければ2年目で職級の差がつく競争意識の情勢(合格者は社内報で全員発表されるし、本社の組織図にはその人の等級が記載されている)などには有効に作用したのではないかと思います。

 

 

◾︎新入社員は半年間旗艦店への配属

新入社員は、旗艦店に約2名配属され、新入社員は前述のSTEPSと店長からのOJTで半年後の店長準備をします。

そして、その旗艦店店長の多くが入社5年〜7年ぐらいの店長となり、旗艦店の売上を任されながら新入社員2名を半年で店長をできるまでに育てなければならないのですが、この過程を踏むことで、売上・育成の両面の視点を持ったエリアマネージャーを輩出することができると思います。

 

 

■内製研修

ブルーグラスの研修で特徴的だったのが、3年目までが受講する研修はほとんど内製で実施されていた点です。自分も現職で研修を実施する立場として思うのは、若手向けの研修は手間がかかっても内製で実施すべきだという事です。若手に対して、研修登壇者が自分の経験を交えながらスキルを継承していく事が重要であることはもちろんのこと、登壇者自身も研修を実施するにあたり、今までの経験が棚卸することになるので学びが多いと思います。

内製研修は、その会社ならでは強みをより強固にすることに大きな役割を果たすと思います。

 

 

■数値意識

今、ブルーグラスを振り返ると、当時、他社では考えられないくらい優れた数値管理の仕組みがあったと思います。また、売場の状態を図る指標は「回転日数(現在庫÷平均日商)」が用いられ、全ての社員に回転日数での会話が徹底されていました。

在庫回転日数とは|金融経済用語集

・売上前年比が高いのに回転日数が早い:在庫が足りない

・売上前年比が高いのに回転日数が遅い:停滞在庫が多い

・カットニットの回転日数変化:季節の変わり目

・スカートとパンツの回転日数:現在のトレンド など

マネージャーやバイヤーへの商品交渉も数値的根拠のある説明を求められていました。しかも男気のある※ディストリビューターの方だと数値的な根拠が伴えば追加商品の融通をきかせて頂ける事もありました。定量で語る意識はこの当時に植え付けられたと思っています。

ディストリビューター:バイヤーが発注した商品を地域や客層や店舗の特徴に合わせて配分する人

 

 

 わずか3年4ヵ月しか在籍をしておりませんでしたが、当時学んだことは今でも活用できることが多く、ご出店店舗とお話したり、直営店と関わる際にも大きな武器になっていると思います。

現在でも色々な業界で活躍されている先輩がいるのも、若いうちからこのような人材育成の仕組みを経験してきたことがひとつの大きな要因なのではないかと思います。

 

 

特に、研修は受講側よりも講師側の人材育成に寄与するという部分は現職においても強く実感しているので、ブルーグラスのよいエッセンスを活用しながら、今後の人材育成についても考えていきたいと思います。