出版社さんとの情報交換
WEB戦略の中でどのようなツールを活用し、ユーザーとタッチポイントを増やしていくかを考えるツール戦略とは別で、どのような情報発信をしているかは重要な要素であると考えています。
デベロッパーが行うべき情報発信は、雑誌に近いんではないかと社内で話していると、WEB戦略を一緒に進めているM本ねーさんから衝撃の一言が、、、
※僕のVRを楽しむM本ねーさん
私の同級生が雑誌の副編集長やってるよ!
「まじかーーー!」ってことでお話を聞きに行ってきました。(11月中旬ぐらいの話)
お聞きしたのは20代前半がメイン購読者の女性誌について。
そもそもデベと雑誌の情報発信が近いと思った理由
・両方とも自ら売っていない物の情報を発信する。
デベ:テナントやテナントの商品
雑誌:ブランドやブランドの商品
・ブランドを跨いだ情報発信ができる。
・さらに雑誌は世界観をもった訴求ができているので、デベの情報発信よりも情報のクオリティが高い。
※デベにも編集という考え方や機能が必要なのではないか(仮説)
雑誌の編集体制
・10名体制:編集長1名+副編集長2名+編集7名※雑誌によって結構違う
企画決定の流れ
発売日の約2ヵ月半前から制作スタート!(同時に2、3ヵ月分の制作が動いている)
0日目:【アンケート会】にてターゲットから話を聞く
7日目:【企画会議】で編集が企画を持ち寄る
14日目:1冊分(20本ぐらい)の企画を決定する ※企画の選定は編集長と副編集長
14日目~:企画の担当を発表し具体的な制作に入っていく
⇒つまり発売日の約2ヵ月前には企画の内容がほぼ決定している。
【アンケート会について】
(概要)
・アンケートは毎月、ユーザーに来てもらって実施。
・毎回来てくれる人もいれば、違う人もいる。
・参加者は「読モ」「キャッチ」「巻末のアンケート」「参加者の友達」など
・毎回30~40人ぐらい集め、5人ぐらいのグループで聞いていく。
※仕事の流儀によるとVERYは複数で聞くのではなく1人の人からじっくりで聞くらしい。読者調査の方法は雑誌により異なる。
・集める年齢層は読者層に比べると広め。※30~40人を集めると意図せず広めになるが、その雑誌を好きという共通点はある。
(アンケート会で聞く事)
・昔は事前に質問を作っていたが、今は割とフリーで聞いている。
・発売日付近の興味あるファッションやヘアメイク。また優先順位が高い要素。
・イベント(バレンタインなど)の過ごし方。
・次に挑戦していきたいと思っているファッションなど。
・自分達が思っていることの答え合わせとなる質問。
⇒ユーザーのことを分かっているつもりになることが一番危険!
(先の情報の引き出し方)
・結構しつこく掘り下げて聞く。
・毎月やっているので、
→聞く側のスキルも上がっているので、聞くポイントが分かってくる。
→定点観測できるので気分が変わったタイミングが分かる。
・この子が言うことはすごく真ん中の意見だとか、意見の奥行きが見えてくる。
・去年の1月と今年の1月でも全然、ユーザーの気持ちが違う。
(雑誌のコアユーザーとライトユーザーだとどっちの声が参考になるのか?)
・雑誌のリアルすぎるユーザーだと、知っている情報が中心になり、あまり参考にならない。
・ちょっと早いぐらいの子の話の方が雑誌の企画にはちょうどいい。そういう子達は気分も世の中のトレンドよりも少し早い。
(アンケート会のキーマン)
・アンケート会を毎月やっていると雑誌の方向性を左右するぐらい影響力のある発言をする子が出てくる。
・その子が話していることと、展示会などで打ち出しているトレンドが一致する。
・その子の気分が変わった時にする発言は雑誌の一年の軸になる時もある。
・言葉にならない感覚をその子が言葉にしてくれたりする。
【企画会議】
(概要)
・アンケート会の情報を参考に編集が企画を持ち寄る。
・必ずしもアンケート会に沿った内容だけではない。
・タレントなどもページ以外は編集がライティングも兼ねる。
(編集の人材)
・働いているひとは中途もいるし、アシスタントから入っている人もいる。
・最低限の経験値は必要だが、重要なのはその人のパーソナルな部分。
・ファッションが好きで、アンテナを広く持っていることが重要。
⇒自分の好きもありつつも、広く情報を吸収し受け入れられる。
WEBも上手にやっていると思う雑誌は?
・ハイモード系の雑誌(ELLE、VOGUEなど)は、WEBでもしっかり広告が入っている。
・完全に紙の編集と別部隊でやっているらしい。
雑誌の収入源
・「雑誌収入」「広告収入」。特に「広告収入」が入らないと商売が成立しない。
⇒上記の収入も業界全体で厳しいので「コラボ商品(化粧品、健康食品など)」「WEBメディア」など新たな事業拡大も力を入れている。
表現方法の留意点
・情報が散漫になると、なかなか次のページをめくらなくなるので、ある程度の一貫性や流れは大事。いい気分でみていたのに、全然興味がない情報が次にくると気分がのらない。
成果の共有
・ただページを作っているだけでは、同じ目標に向かえない。
・編集の人にも成果(雑誌の売れ行き、好評だった企画など)を細かく伝える。
・好評だった企画などは巻末アンケートなどを数値化する。
・WEBはリアルタイムで成果を見られるので面白いと思っており、もっと強化したい。
アトレに置き換えた時の学び
・種はあくまでブランドやユーザーであり、雑誌の役割は編集。
⇒デベもそうではないかと思う。そう考えると種を常に収集できる仕組みが重要。
・なによりも消費者の声。(顧客の声を起点に企画を考える)
⇒継続的に聞き続けることが重要。
⇒欲しい物よりも気分の変化が重要。
⇒常にユーザーに寄り添っていることが重要。
(分かっているつもりになることが危険)
・世界観があることが事業拡大の可能性を広げる。
⇒世界観があれば、商品開発やWEB展開もメッセージがユーザーに伝わりやすい。
・情報の置き方やどの順番で伝えるかが重要。
⇒興味があることをいい流れで見れるとユーザーは気持ちよく情報を見れる。
・チームの一体感を生むために数値の共有は重要。
⇒企画や編集がただの作業になってしまう。
イメージ戦略を行うには、販促でなく編集という視点が重要。そして、その種はユーザー(デベでいうとテナントとお客様)であり、発信側の独りよがりにならないようにユーザーと接点を持つ仕組みづくりをする必要があると感じました。
出版社のKPIである発行部数やアンケート結果をSCに置き換えると、KPIは入館者数やPV数になるのだろうか?
次回は、ぜひアンケート会に参加させて頂こうと思っています!