ちょゆき(仮)’s blog

ショッピングセンターとデジマについて

ショップの人が知りたいことって?

 

先日、以前勤務していた大井町店での打合せ帰りに館内を一通り見ていたら、僕がいた当時からいたお店の店長やスタッフの方と何人かいてお話をさせてもらい、懐かしくなったので、当時の事を書いてみました。※大井町店を離れて3年半以上経って、未だに話ができるショップの人がいるのは嬉しい。

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まだ僕が大井町店に勤務していた当時、アトレでは全ショップを8つのカテゴリー(業種)に分けていました。※今はフロア制

・ファッションA

・ファッションB

・身の回り品

・生活雑貨

・スイーツ

・食料品

・サービス

・レストラン&カフェ

 

 

僕はその中で食料品と生活雑貨のカテゴリーマネージャー(業種ごとの営業担当)をしていました。

 

 

 

【カテゴリーミーティング(業種別の戦略会議)への疑問】

当社では、月に1回、15日前後にカテゴリーミーティングという同じ業種の店長が集まる会議を実施しています。(今は若干制度が変わってますが)

 

 

一般的なカテゴリーミーティングの流れは下記の通り

・連絡事項

・前月の売上共有&各店店長の概況報告

・当月の売上共有&各店店長の概況報告

・次月キャンペーンのヒアリング等

みたいな感じで実践してました。

 

 

入社してしばらくは、上記のやり方に習って会議を進行していましたが、徐々に違和感を感じ始めます。

 

 

〝この会議は本当にショップの人にとって有益なのか〟

 

 

この疑問は特に生活雑貨カテゴリーに対して感じました。

 

 

生活雑貨の店長は、事前準備もほぼ完璧で概況説明もしっかりしているし、僕からの質問への回答も的確でした。

 

 

ただ、

 

〝多くのショップが他ショップの概況にあまり興味がないように感じました〟

 

 

大型店や接客店が多い生活雑貨カテゴリーは、8つのカテゴリーの中でもマネジメントもある、レベルの高い店長が揃っているので参加している人の問題ではない。

 

 

その疑問はすぐに分かりました。

①自分の店に売っている商品じゃない

生活雑貨カテゴリーは、雑貨店、書籍、化粧品専門店、花屋など多種多様なショップが混在したカテゴリーだったので、売れ筋を聞いてもあまり活用できる要素がない。

 

②ほとんどが終わった話の共有

 終わった話の共有なので、僕以外からほとんど質問がこない。

 

③売れ筋共有の粒度が粗い

雑貨店に関しては、近い部門の商品を取り扱っているケースはあり、過去の話でも直近の話であれば十分参考になることはあると思います。

しかし、例えばメイク用品が好調だったというレベルの話では全く意味がなくて、その中でもアイウェアなのか基礎化粧品なのか、さらにその中でもどんな特徴がある商品が売れたのかまで聞けないと自店の戦略にはなかなか応用できません。(この点についてはファッションの方が単品アイテムで共有しやすいかも)

 

 

【多種多様なお店の共通課題とは】

原因は分かったものの、ショップ構成を組み替え直したり、会議時間を増やして解決する問題ではありません。

 

 

しかし、僕も過去にファッションショップの店長をやっていた身なので、カテゴリーミーティングをできる限り有益な場にするという個人的な使命感がありました。(ちなみに僕が、店長時代に経験したSCでは全体の店長会議はありましたが、業種毎の会議をやっていた事はありませんでした)

 

 

上記の〝③売れ筋共有の粒度が粗い〟については、日々のコミュニケーションで情報を回していった方が単品の売れ筋動向をタイムリーに提供できるので、そこは日々のコミュニケーションで補えると思いました。

 

 

カテゴリーミーティングは、未来の戦略を議論する場所であるべきと頭では分かっているものの、取り扱い商品がばらばらなショップ同士でここの店舗の販売戦略を共有し合うのも何かしっくりこない。

 

無駄とは言わないが、それを聞くために集まるほど店長はヒマじゃない(自分が店長をやっていた時にそれをやられていたら少なくともそう思う)。

 

 

各店店長がニーズとして意識をしていないが、潜在的に知りたいことは、困っていることは何か...

 

 

なかなか明確な答えを出せないまま、自分が前々職の店長時代に記録していたノートを振り返ってみます。

 

 

基本的には、自分が入ったお店の陳列やディスプレイの気になることが記録されてますが、親会社のスーパーや雑貨の店などで気になった事を記録している事に気がつきました。

 

 

そう言えば、食料品ショップが一番売りたい商品の下に赤い布を敷いただけで売上が上がったみたいな話を違う業種のショップに話した事も思い出しました。

 

 

〝売れているものではなく、売り方や人材育成などを共有すると、新しい発見があるのでは〟

 

と思い、カテゴリーミーティングのやり方を根本から見直す事にしました。

 

 

 

【戦略を共有する会議へ】

いきなり各ショップの売上を上げるための取り組みを議論してくださいと言っても話が活性化する訳もないので、やり方を色々と試行錯誤してみました。

 

 

■当日に議論するテーマを事前に打診

(テーマ例)

・売上向上の為に、自社・自店で取り組んでいる事

・2番手スタッフに求める能力、必要なスキル

・優秀なショップスタッフの条件 など

 

 

■当日の進め方

1.2つのグループに分ける

 

2.〔個人ワーク〕テーマに沿った内容を1項目1付箋に記入。※できる限り具体的な内容で記入。

 

3.1ショップずつ、取組み内容を1つずつ発表。発表したら、模造紙に付箋を貼っていく。発表者と自分が書いた付箋の内容が被った場合は、合わせて同箇所に付箋を貼っていく。

 

4.全て貼り終わったら、似たような傾向の塊にタイトルをつけ、グループ内で傾向や発見を情報交換。

 

5.グループの半分を入れ替えて、残った人が入れ替わってきた人へ模造紙の内容を説明。

 

6.5の逆を行う。

 

(7.会議後に書店の辛口店長にその日のフィードバックをもらう)

 

1〜6でまとめた内容は、パワポにまとめて議事録としてフィードバックしました。

※2番手に求める能力、スキルは大型店と接客店では求める要素が結構違って面白かったです。

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最初のうちは、言葉が重かった会議も回数を重ねる毎に活性化されていき、売り方について議論が交わされる会議になっていきました。これは会議だけではなく日々のショップさん同士のコミュニケーション向上にも寄与したのではないかと思っています。

 

 

会議の中身がベストだったかは、確かな確信が持てる訳ではありませんが、SCとして商売をする以上、お客様に見えない部分においても複合店のメリットを少しでも発揮できるように創意工夫を重ねることがデベロッパーに求められる役割のひとつであると、今でも強く感じます。