ちょゆき(仮)’s blog

ショッピングセンターとデジマについて

前の会社の話【前半】

僕は社会人になってショッピングセンターと①デベロッパー②クライアント③当事者の3つの目線で関わってきました。
その振り返りが今後のオムニチャネル展開のヒントにもなるのではないかと、思い出しながら振り返ってみます。


 

株式会社オックスプランニングの話 【2005年11月~2010年9月】

※ショッピングセンターが②クライアントだったときの話

オックスプランニングは、元リクルートの方が立ち上げた会社で、都市のあらゆるスペースを「コミュニケーションの場」と捉え、ビジュアルを駆使した新しい手法を企画提案を行ってきた会社で、大型グラフィックを日本に持ち込み都バスや工事中の仮囲いなどをラッピングし、広告媒体化などを行った会社です。

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■入社のきっかけ

次の就職先も決まらないまま退職をした時に上司に言われた一言。

「自分の無理のかからないペースで働く仕事の仕方もあるからな」

側から見ると、25歳の若造が必要以上に生き急いでいた様に見えていたのかもしれません。

すぐに次の仕事を探す所まで気持ちの整理もついておらず、幸いにも前職の最後の職場は実家から通っていたこともあり、一ヵ月間は就職活動をせずに療養し、二ヵ月目から本格的に転職活動を行いました。※気持ちの切り替えとして、リクルートエージェントに登録をし、「ニート脱出」という本を購入しました。

 

転職先の方向性は2つ

①能力を求められるが、自分がやりたいと思った仕事

②前職の上司が言った様に無理なく働ける仕事

転職活動を始めた時点でも、その点については気持ちの整理もつかず、またダメになるのではないかという漠然とした不安も抱えながら活動をしていました。

 

腹積もりが決まっていないとは言え、動かないと何も始まらないので、業種などは絞らずに気になった会社に応募をしていきました。

 

転職活動を始めて、一ヵ月が経過したあたりで転職サイトに掲載された一枚の写真に目が止まりました。f:id:you19800330:20170118211504j:image

その写真が何かメッセージを発している感覚がして、その会社への応募を決めました。

 

最初は会社説明 兼 一次面接となり、冒頭で社長からの会社説明がありました。

「うちの会社は、グラフィックなどを使って空間に付加価値を加えたり、集客支援などをしている会社です。ただ、言葉で説明するのは難しいので参考例を出します。」と言って出したのが、下記の写真。

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「このピクトがトイレに貼ってあったら、男性の何割かは女子トイレへ、女性の何割かは男子トイレに入る可能性がありますよね。うちの会社はそのようなことをしている会社です。」と説明されました。

 

大規模な工事を行わずグラフィックの力を使って、潜在顧客の態度変容を促し、顧客獲得支援を行うというビジネスモデルに強く共感し、この会社で働きたいという気持ちが強く芽生えました!

「底辺まで落ちた人間でも這い上がることができる!」ことを証明するために、もう一度やりたいと思ったフィールドにチャレンジする事を決意しました!

 

 

■初めての法人営業

配属部署は、店舗を持っているので会社に大型グラフィックを活用した集客支援を提案する部署でした。

実はサイバーエージェントの藤田社長もオックスプランニングで2年間のアルバイト経験があり(藤田さんの業務はアルバイトの域を超えてますが、、、)、求人広告などを営業していた当時の事を語ってますが、

第18回 株式会社サイバーエージェント 藤田 晋 3 | 起業事例 | 起業・開業・独立・会社設立ならドリームゲート - ベンチャー・起業家支援サイト

 

基本的には、ごりごりの営業会社であることはその当時も変わらず、どの部署に配属をされたとしても、

①アタック業界のリストアップ

テレアポ

③新規訪問•会社案内

④③次第で提案

⑤フォロー営業

という基本的な流れで営業活動を行っておりました。

ちなみに僕が入社した当時は藤田さんの記事にある受注確率の低い飛び込み営業という文化はありませんでした。※とはいえ、数字が厳しい時は飛び込み営業もポスティングもやりましたが。。。

 

①アタック業界のリストアップ

新規の入社社員は、前任の退職などのタイミングに恵まれない限りは、基本クライアントがゼロなので、②に移るまでにおおよそ300件ぐらいのテレアポ用リストを作成します。基本はアタックしたい業界の企業サイトから電話番号をリスト化していくのですが、このリスト化はいかに効率性を追求できるかがポイントとなります。

僕が、取り組んでいた事としてよかったのが、

•アタックしたい業界に協会があれば、そこから企業名をリスト化(ここに電話番号も記載があれば超ラッキー)

•求人サイトからリスト化(そういう主旨で電話番号を記載している訳ではなかった思うのですが各社の人事担当の方、本当にごめんなさい。そして希望の部署に取り次いで頂いた方、その節は本当にありがとうございました)

などです。

 

テレアポ

テレアポは、基本やるときは一日100件は電話します。入社したばかりであれば、お客さんもおらずアポイント先もないので、毎日ひたすら電話です。

テレアポはテクニックや相性(例えば女性だとアポがよく取れるなど、逆もある)はもちろんあるのですが、5年間やった経験から出た結論は、結局確率論(だいたい7%~10%)で一番電話をした人が一番アポイントの件数を取れると思います。

テレアポが、入社後の最初の分岐点となります。

入社してまもなくは、なかなかアポイントも取れないので、断られるたびにテレアポトークを見直したくなるのですが、そうやっているととても一日100件はかけられません。(テレアポが辛くて退職してしまう人は中途社員だと意外に多かった記憶があります)

入社直後の上司(女性)にテレアポの極意を授けられました。

上司「テレアポは、スポーツと同じだ。スポーツもアップを休み休みやったら全然体が温まらないだろ。テレアポも同じだ!50件、100件一気にかけないと舌がなかなか温まってこなくて全然トークが乗ってこないぞ!」

僕「。。。」

でも、これがホントにそうで、テレアポ一気にかけないと滑らかに喋れないのです。

 

 

③新規訪問•会社案内

テレアポでお会い頂けると言って頂けたら、新規営業を行いますが、前職では一日5件営業を回るように言われていたので、午前2件、午後3件回れるのが理想的です。

ただ、ここで問題となるのが、一日5件回るのはできるのですが、一日5件回り続けるには営業の合間にテレアポをしないと継続する事ができません。

そのため、先方のご都合を最大限配慮しつつ、極力移動時間を少なくするために近いエリアでスケジュールを埋めるセンスが求められます。これをセンスがない営業マンは自己都合をゴリ押ししてしまい、電話口の方に不快感を与えてしまいます。

※余談ですが、先日僕にも新規営業の電話が携帯にかかってきて、出先なので候補日をメールで送って欲しいと言っているのに、「今、日程だけでも決められませんか?」言われ、強く返したら分かりましたとの事になったのですが、今だにメールはきません。。。商品は魅力的なのに担当者が商品の価値を下げてしまっている典型的な例かと思います。

 

新規営業の事前準備としては、まず営業先のHPを見て下調べをし、課題の仮説を立て紹介する事例の選定を行います。

普通の営業会社と大きく違うのは、僕の部署はほとんど商品の説明を行わず、事例の紹介を中心に会社案内をしていました。その背景としては、基本的な提供サービスは大型グラフィックを使った表層的なリニューアルによる集客促進ではあるのですが、全社的にはデジタルサイネージやインターネット広告など事業が多岐に渡っていたことと、基本的に依頼があった仕事ができるかは受けてからできるか考えろと言われてきたので、会社案内も事例をベースにその会社が抱えていた課題とそれをどのような手法で改善し、結果どうなったかを紹介しながら、訪問した会社様の課題を探っていくという営業手法を行っていました。

 

④ご提案

事例をご紹介しながら、その会社の課題に当たったら、そこを深堀りしていき、ご提案という流れになりますが、基本的に新規営業の案件のほとんどは受注が確約されていないアタック提案となります。

ここが、テレアポに次いで2つ目の分岐点となるところなのですが、アタック提案は人によって決まる確率が全く異なります。提案量は多いが、結果的に全く受注せず数字が作れない人はあまり長続きしません。

ポイントは大きく2つあると思っています。

 1.提案するとすぐに自分から言ってしまう。

 先方の温度感が高まっていないうちから、提案すると自ら言ってしまうケースです。基本アタック提案は費用を頂かないので、依頼する気がなくても提案すると言われれば断る人はほとんどいません。これは案件がない、数字が足らない人によくありがちなことで、見かけ上案件を進行している様に見えるので、新人などによくありがちなパターンです。特に僕のいた部署はデザイン提案が中心なので、そのような案件を多く受けていると社内のデザイナーの負担も大きくなるし、自身も確率の低い案件の進行管理に追われるようになります。

 2.相手の課題の本質を十分に聞ききれていない。

 営業というとトークスキルが重要と思われがちですが、重要なのはヒアリング能力です。優秀な営業マンは8割方相手に話しをさせるといいますし、課題の本質に近い部分は具体例などを用いて深く掘り下げることができます。

また、課題感については担当者が感じている課題感なのか、その会社自体の課題なのかを掴んでおくことも重要な要素で、単純に担当者が感じているだけの課題だと、いいところまで話が進んだ後にボツになるケースも多いです。ただ、僕はその担当者自体が感じている課題感だったとしても、その担当者が本当にその課題を解決したいと考えている場合はとことん付き合うと心に決めて取り組んでいました。(そういう場合は初回の提案が受注しなくても、その後に長いお付き合いをさせて頂けるケースも多かったです)

 

⑤フォロー営業

一度訪問した会社様は定期的にフォロー営業を行いますが、こちらも基本的にその業界やその会社様の課題に近い納品案件があった際に事例のご紹介でご訪問するケースが多いです。

新規営業の場合は案件化する・案件化しないは本当にタイミングなので、電話やメールだけでもコンタクトを取る事が重要なポイントとなると思います。

 

 

こんな感じで日々、営業活動を続け、約5年間で約80社様(新規約8割)と350件ほどのお取引をさせて頂きました!

前職より体力的にも精神的にもはるかにきつい仕事を5年間も続けてこられた要因は、年齢の近い先輩や同僚に支えられたことが大きいです。同じ営業の人間はもとよりデザイナー、施工管理と立場が違う職種の人も一緒になって案件決めようと毎日深夜まで仕事をし、受注した案件は共に喜びを分かちあい、そこに自分の居場所は常に存在していました。

そして、僕の仕事を支えて頂いた協力会社の方々、オックスプランニングでは営業マンも施工現場に入る事が多く、多くの協力会社様の高い技術を見せて頂きました。本当にモノづくりというのは人力で支えられているという事を実感し、施工現場が大好きな営業マンになったのはその方々の影響が大きいと思います 笑

そしてなにより、電話営業からこれだけ多くのお取引をさせて頂いたお客様の存在が大きかったことは言うまでもありません。お取引様には感謝の言葉がつきませんし、今でも情報交換でお会いさせて頂いている方も多く、この場を借りて改めて深く感謝申し上げます。また、大変なご迷惑をおかけした案件もあり、そのたびに申し訳なさと自身の力不足を感じましたが、お客様の想いを形にしていくなかで自分も大きく成長させて頂けたと実感しています。

 

後半では、自身の転機になったエピソードと現職への転職の経緯などを書きたいと思っています。