前の前の会社の話【前半】
僕は社会人になってショッピングセンターと①デベロッパー②クライアント③当事者の3つの目線で関わってきました。
その振り返りが今後のオムニチャネル展開のヒントにもなるのではないかと、思い出しながら振り返ってみます。
株式会社ブルーグラスの話 【2002年4月~2005年8月】
ブルーグラスは、イオングループの婦人服・服飾雑貨の小売業を行っている会社です。※現在は合併に伴い㈱コックスに社名変更。
ブランドは10ぐらい持っていましたが、僕が配属されたブルーグラスはこんな感じ↓
ブルーグラスに入社した理由は「入社半年で店長を任せられ早いキャリアアップが見込める」という点。大学時代に洋服屋で3年間アルバイトをしていた事もあり、一刻も早く自分でお店を運営したいと考えていました。
ブルーグラス船橋店 店舗スタッフ 【2002年4月~2002年8月】
当時の教育システムで、新入社員は各エリアの基幹店に配属され、僕は船橋ららぽーと店に配属となりました。
今でも僕の記憶に強く残っているエピソードで、入社後始めてエリア部長としたやり取りがあります。
部長「競合店はちゃんと視察しているか?」
私「はい!時間がある時に見るようにしています」
部長「毎日見ているか?」
私「毎日は、、、見ていません」
部長「毎日見ないとダメだ!毎日ディスプレイと店頭商品を見ることで、競合店のシーズンの流れが分かるようになるんだ!ららぽーとみたいにいい店を毎日見れる機会を無駄にするな」
そのやり取り以降、僕は決まった競合店を毎日見ました。そうすると、たしかに春から初夏物に商品を切り替えたタイミングや、新シーズンの立ち上げが早い店と遅い店の違いが分かるようになってきました。
この経験は、現職でも現場にいた時は実行しており、ショップさんとコミュニケーションを取る上で大きな武器となりました。
(余談エピソード)
ブルーグラスは、レディース主体の会社であることから約60名の同期のうち、男性はわずか8名でした。そのため男性社員の仲間意識が強く僕も男性の先輩社員にはかなり面倒を見て頂きました。
その際に2つ上の先輩から店長をやる上で絶対失敗してはいけない教訓を教えて頂きました。
先輩「お前も入社半年もしたら店長になる。だからこれだけは絶対に覚えてとけ!」
私「はい」
先輩「お前が店長になる店は、ほぼ間違いなく社員はお前だけだ。そのため、突発的な欠員などが発生すると1人で店を回さなければならなくなる」
私「はい」
先輩「そうはいっても腹は減る!昼を抜くと閉店まで体力が持たないから昼食はお客様に見えない所で素早く食べろ!ただしパンは絶対買ってはダメだ!絶対におにぎりにしろ!」
私「えっ、何でですか?」
先輩「パンは唾液を吸うから食べている時にお客様が入店するとすぐにいらっしゃいませが言えない!ご飯だったら飲み込めるからすぐにいらっしゃいませが言える!」
この教えは秦野店勤務時に実行されることとなりますが、確かにその通りでした。
※ちなみにこれを教えてくれた先輩は、現在外資系アパレルブランドで100人のスタッフを束ねる店長をしております。
ブルーグラス愛川店・八王子高倉店 兼任店長 【2002年9月~2003年9月】
いよいよ入社半年が過ぎ、早い人だとすでに店長としての異動がスタートし始めた時期の店長会での出来事。
エリアマネージャー(以下エリアM)「辞令を渡します」
私「はい!」
エリアM「ブルーグラス愛川店、、、と」
私「と?」
エリアM「八王子高倉店!」
私「???」
エリアM「2店舗お願いね♪ちなみに愛川店は最寄り駅がなくて、閉店の15分後に最終のバスが出ちゃうから車は用意してもらった方がいいかな。2週間以内に!」
愛川店(厚木あたり)と八王子高倉店はエリアも違うため、通常は人事が住む場所を選定するはずが、どこに住むかは自分で決めてきてくれと不動産屋を紹介されました。
その時はとんでもない会社に入ったなと思いましたが、今ではいい思い出です。
愛川店はスーパーとしまむらみたいな量販店が核テナントの平屋のSCでなかなか個性的な店でした。
例えば、
・基本的にマークダウン品しか売れない
・商品がきれいに畳まれすぎていると商品が触られない(最終的にしまむら方式でほとんどの商品をハンギングにする事が一番良いことに気づく)
・向かいの子供服屋の10円ガチャのガムがよく売場に吐き捨てられるため、ガムをエラで取る事がシフトで組み込まれている
・館内全てが共用のスピーカーのため、スーパーの「鯖の三枚おろしでお待ちのお客様~」というアナウンスが真上から聞こえる
・コートの値札を差し替えて、商品をレジに持ってくる人が結構いる
などなど
この店舗では、何が何でも売上を作るという営業マインドを学びました。
エリアM(僕に事例を通達した人とは別の人)に頼みエリア内の処分品を自店に集めてもらい、館内が共有スピーカーであることを逆手にとり、タイムセールをやりまくりました。(タイムセールの案内が全館に響き渡る)
制服のまま財布を持ってダッシュしてくるしまむらみたいなお店の店員さんやスーパーからダッシュで走ってくるお客様の姿は今でも目に焼きついています。
前の前の会社の話【後半】に続く(デジマの話はもうしばらく先になります)